「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」の報告書の公表について
職場における化学物質管理に関する規制の見直しに関して、令和3年7月19日に検討会の報告書が公表されました。
1. 基本的な考え方
労働者のばく露防止対策等を定めた化学物質規制体系に関して、化学物質ごとの個別具体的な法令による規制から、以下を原則とする仕組み（自律的な管理）に見直す。
1）ばく露濃度等の管理基準を定めて、危険性・有害性に関する情報の伝達の仕組みを整備・拡充する。
2）事業者はその情報に基づいてリスクアセスメントを行い、ばく露防止のために講ずべき措置を自ら選択して実行する。
2. 化学物質の自律的な管理のための実施体制の確立
1)化学物質を譲渡・提供する場合のラベル表示・安全データシート(SDS)交付を義務づける対象に関して、約2,900物質まで拡充する。また、これらの物質の製造・取り扱いを行う場合はリスクアセスメントとその結果に基づく措置の実施を義務づける。
2)ラベル表示等を義務づける物質の内、国がばく露限界値を定める物質はその濃度以下で管理することを義務づける。
3)規制対象物質の製造又は取り扱いを行うすべての事業場に関して、化学物質管理者の選任の義務づけや職長教育、雇い入れ時と作業内容変更時に教育を行う対象業種を拡大する。
3. 危険有害性情報の伝達強化
1)安全データシート(SDS)の内容充実と定期的な更新を義務づける。
2)事業場内で他の容器に移し替える場合のラベル表示等を義務づける。
4.特定化学物質障害予防規則等に基づく個別の規制の柔軟化
1)特定化学物質等に関する健康診断に関して、一定の要件を満たす場合は緩和する。
2)化学物質の高濃度ばく露作業環境下でのばく露防止措置を強化する。
5. がん等の遅発性疾病に関する対策の強化
がんの集団発生時の報告を義務づける。なお、この報告書を受けて労働安全衛生法に基づく関係法令の改正の検討が行われる。
